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忍城


  

   

読み・・・おしじょう

所在地・・・埼玉県行田市本丸(旧行田市)

別称・・・亀城

築城年・・・1490年?

築城者・・・成田親泰?

主な城主・・・成田氏、松平忠吉、松平信綱、阿部氏、松平氏


成田氏の台頭

 成田氏は武蔵七党の1つ「横山党」説と藤原氏説がある。
 鎌倉時代、執権北条氏によって武蔵の有力御家人が次々と没落していった。また、鎌倉公方の補佐役である山内上杉氏、扇谷上杉氏の私領となり、争乱の中で数々の豪族が没落していった。
 しかし、15世紀後半くらいから、中小豪族が統廃合しながら勢力を持ち、国人領主が台頭し始めた。その中に成田氏がいる。
 成田親泰は古河公方と関東管領の対立、そして山内上杉氏と扇谷上杉氏の対立に乗じて、少しずつ勢力を拡大していった。1489年、親泰は忍大丞を滅ぼし、翌年に忍氏の館に忍城を築いて、それが成田氏台頭の大きな一歩となった。ただし、忍城の築城年代に関しては複数の異説がある。

複数ある築城説

 忍城の築城年代に関しては大別して5説ある。

 1・・・応永年間(1394〜1427年)説。
 2・・・文明年間(1469〜1486年)説。
 3・・・文明年間(1469〜1486年)初頭説。
 4・・・延徳2年(1490年)説。
 5・・・永正年間(1504〜1520年)説。

 1479年に古河公方足利成氏が出した文書に「忍城」の名が見え、すでに忍城がこの時にはあったとされている。上に挙げた4と5は疑わしいことになる。
 さらに1に関しては、この頃すでに成田氏が忍城のある地域を領していることは事実上不可能に近いので疑わしい。
 すると、2と3が妥当なような感じがする。文明年間中(当時の当主は親泰の父顕泰)に忍城が築かれたのであろうか。

北条氏に属す

 成田親泰の子長泰は、忍城の増築と改修を実施し、堅固な水城へと変えた。
 そして、山内上杉氏に属しながらも勢力の拡大を図り、騎西城に弟の小田家時(朝興ともいう)を置いた。さらに、長泰は妹を岩槻城主太田資時に嫁がせ、外交面でも抜かりはなかった。
 そんな長泰であったが、北条氏康と上杉謙信という強大な勢力が接近しつつあった。
 1560年に上杉謙信が北条氏を攻めるために軍を起こすと、長泰はこれに従った。謙信は前年に上洛して将軍足利義輝に拝謁し、関東管領の内意を受けていた。成田氏はもともと関東管領の家来であり、そのため上杉謙信に従ったのである。
 1561年は謙信の大軍が小田原城を攻めたが、城は落ちなかった。帰路、謙信は鶴岡八幡宮に寄って、関東管領の就任式が行われた。その席で、居並ぶ諸将は平伏しているものの、長泰だけは平伏さなかった。さすがにその行為が謙信を怒らせることとなり、謙信は持っていた扇子で長泰の顔をうちつけた。成田氏は、源義家から馬上礼を許された家柄で、謙信の関東管領就任式でも馬上礼をしたのだが、謙信は成田氏のその格式を知らなかった。長泰は恥をかかされたと怒り、手勢を率いて忍城へと戻った。
 忍城へ戻った長泰は、北条氏と正式に主従関係を結ぶこととなる。
 1566年、長泰は家督を次男長忠に譲ると言い出した。そのことで、長男氏長と長泰との間で対立が起こったが、長泰があっさりと身を引いて氏長に家督を譲ったため、内紛までには至らなかった。

忍の浮城

 さて、時は移って1590年。
 豊臣秀吉が小田原攻めへと乗り出した。
 成田氏長は小田原へ参陣し、叔父の泰季が城代となった。
 6月4日に館林城を攻略した石田三成、大谷吉継、長束正家等は、忍城へ向かって城を包囲、堤(石田堤)を築いて水攻めを実行した。
 ところが、水攻めはうまくいかず、大雨が降って堤が決壊してしまうこともあった。
 数日後、浅野長政と真田昌幸等が応援にやって来ても、城はなかなか落ちない。
 7月5日、小田原城がついに落ちたが、この時忍城はまだ耐えていた。だが、11日に氏長の説得によって忍城も開城した。実は、小田原へ参陣していた氏長は、6月20日にすでに降伏しており、氏長降伏後も忍城は籠城を続けていたのであった。
 石田三成の水攻めに耐えた忍城は、水に浮く城ということで、「忍の浮城」と呼ばれている。

松平忠吉

 忍城が開城した後、成田氏長は3万7000石を与えられて烏山城へ移った。
 北条氏が滅んで徳川家康が関東に入封すると、忍城は家康の4男松平忠吉に与えられた。石高は10万石である。しかし、忠吉はまだ幼少のことから、松平家忠が城預かりとして忍城に入り、合戦で荒廃した城や城下町などを修復した。さらに伊奈忠次が領内を検地し、小笠原吉次らが所領支配を担当した。
 1592年、忠吉が忍城に入城し、正式に忍城主となった。その後忠吉は、関ヶ原の戦いの功績で、尾張清洲に52万石を与えられて清洲へと移っている。

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